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和「自転車に乗れないなんて言えないわ…」

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7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 20:46:19.43 ID:ZLQuDNW5O

和「明日までに進路調査表だしてねみんな」

「あ、真鍋さーんこれお願い」

和「園芸部の部費申請ね。わかったわ」

「和ちゃんこれもよろしくぅ」

和「ええ」


唯「むぅ」

律「幼なじみをまじまじと眺めてどうかしたか? 唯」

唯「りっちゃん。和ちゃんってさ……何か弱点ないのかな?」

律「わたしに言うなよ!」

紬「幼なじみの唯ちゃんでも知らないの?」

唯「可愛いとこならいっぱい知ってるけど……弱点は知らないのです」

澪「二年の時同じクラスだったけど…確かに弱点というか欠点がないよな、和は」


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 20:52:26.21 ID:ZLQuDNW5O

唯「澪ちゃんなら怖いもの。律ちゃんはちまちましたもの。ムギちゃんは……?」

紬「太りやすい…かしら」

唯「そしてわたしは一つのこと以外の集中力……他色々」

律「ああ、ちゃんと自覚してるのか」

唯「人はどこかに弱点を持ってるものなんだよ!! なのに……」

澪「和の場合それがないって?」

律「ま~生徒会長だし、成績優秀、運動神経もいい。完璧と言えば完璧だな」

唯「と言うわけで和ちゃんの弱点を探しましょう!」

澪「なんでそうなる」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:01:54.70 ID:ZLQuDNW5O

和「何やってるの? 次移動教室よ」

律「今和の話してたんだよ。な、唯」

唯「くぅ~移動教室をみんなに訴える和ちゃん健気っ」

和「何言ってるのよ……」

澪「あ~気にしない方がいいと思うよ。いつものことだか」

紬「和ちゃんの弱点ってなあに?」

律澪「(直球だーッ!)」

和「えっ? 弱点?」

律「唯がさ、和は完璧で弱点がない~って喚いてるんだよ」

和「そんなことないわよ。ほら、私目とか凄く悪くて眼鏡がないと前が見えないぐらいだし」

澪「ああ、そう言われたらそうだった」

律「和の弱点見つけて良かったな、唯」

唯「……」

澪「唯?」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:10:02.94 ID:ZLQuDNW5O

唯「違うんだよ…りっちゃん」

律「なに…?」

唯「それを補って有り余るものがあるよね……!」

律「はっ!!! 眼鏡か!!!」

和「えっ」

澪「た、確かに眼鏡は和の魅力を更に引き出してる…」

律「眼鏡と言えば和! 和と言えば和……。」

紬「生徒会長で眼鏡さんなんて理想の生徒会長図よね」

和「ちょっと…みんなまでからかわないでよ///」

澪「いつもは凛々しいのにこうやってたまに照れる姿が……!」

紬「いいわ……ッ!」

和「二人ともちょっと落ち着いて!」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:16:40.45 ID:ZLQuDNW5O

唯「つまり和ちゃんに弱点はないんだよ!!!」テレッテッテッテテレレレ~

律「まさにキングオブ完璧……」

澪「これは確かに認めざるを得ないな」

紬「そうね~」

和「もう……。わかったからそろそろ移動しないと間に合わ(ry」

唯「こんな時でもちゃんと私達が遅刻しないように気遣ってくれるその優しいさプライスレスだよ和ちゃんっ!」ビシッ

和「もう好きにして……」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:23:54.95 ID:ZLQuDNW5O

──生徒会室──

和「はあ……」

「どうしたんですか会長?」

和「……。ねぇ、私ってそんな完璧そうに見えるのかしら?」

「見えます見えます! この学校で一番誰が完璧に見えるか? ってアンケート取ったらまず和さんとさわ子先生の1.2フィニッシュですよ!」

和「……そう。……はあ」

「あれ? 嫌でした?」

和「そんなことないわ。そんなことないけれど……はあ」

「気苦労が絶えませんね生徒会長は」

和「ほんとにね…」

「そんなに完璧に見られるのが嫌なら秋山先輩みたいに壇上でパン(ry」

和「やるわけないでしょっ!!!!!」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:30:29.44 ID:ZLQuDNW5O

──帰り道──

和「……あんまり気にしない方がいいわね、こういうことは。普段通りにしよう」


唯「あっ! 和ちゃーん!」

和「あら、唯。今部活の帰り?」

唯「うんっ! みんなも一緒だよ~」

律「おっすぅ」

澪「生徒会の仕事お疲れ様、和」

和「ありがとう澪。あなた達もお疲れ様」

律「わたしにもお疲れ様くれよみ~お~」

澪「ならもうちょっと練習しようなり~つ~?」

梓「今日もほとんど練習してないじゃないですか!」

律「そうだったっけ?」

澪梓「そう(だ!(です!」

梓「全く…和先輩を見習って欲しいです」

和「……」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:40:39.13 ID:ZLQuDNW5O

律「わたしは和みたいに完璧に出来てないもーん」

和「!?」

澪「律! そんな言い方……」

和「完璧……ね」

紬「ごめんなさい和ちゃん。りっちゃんもそんなつもりで言ったんじゃないと思うから」

澪「ほ~ら、律、謝れよ」
律「……」

澪「律!!」

唯「二人とも喧嘩は良くないよぉ…」

和「ごめんなさい…私のせいでこんな空気にしちゃって…」

律「……ぷ、ぷははっ! ほら! 言っただろ? 和は完璧だって」
和「えっ」

梓「絶対怒ると思ってました…」

唯「和ちゃんは優しいんだよぉ」

澪「ごめんな、試すようなことしちゃって。律がどうしてもって言うから…」
紬「一芝居したの。ごめんね和ちゃん」
和「もう……みんなしてからかうなんて酷いわね」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:48:43.63 ID:ZLQuDNW5O

律「ごめんな、和。もうしないから。それにしても完璧だな~和は」

梓「ほんとに完璧なんですね」

澪「ああ。和は完璧なんだ」

紬「完璧さんね」

唯「さすが和ちゃんだよ!」

和「……完璧」

って……何かしら。

私はただ苦手なことは克服するようにしてきただけなのに。

いや、普通完璧と言われたら喜ぶべきところなのだろう。けど……今はそれが酷くつまらない気がした。

和「私、そろそろ帰るわね。みんな遅くならないようにするのよ」

律「ハーイ」

和「……ッ!」

唯「和ちゃん……?」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 21:55:51.67 ID:ZLQuDNW5O

和「な、なんでもないわ。じゃあね、唯」

唯「あ…っ! ちょっと待って!」

和「ん?」

唯「今度の日曜日みんなで隣町に買い物しに行くんだけど和ちゃんも来ない?」

和「えっ、いいのかしら?」

澪「何言ってるんだよ和。いいに決まってるだろ」

梓「はい。勿論です」

紬「人数が多い方がきっと楽しいわ」

唯「ね! いこっ! 和ちゃん!」

和「みんながそう言うなら……」

唯「じゃあ決まり! 今度の日曜日駅前に集合だから!」
和「ええ、わかったわ」

律「自転車で行くから忘れずに乗ってこいよ~。って言うまでもなかったか」
澪「そうそう。和がそんな忘れ物なんてするわけ…」

和「」ガタガタガタガタ

澪「えぇっ!!?」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:04:25.35 ID:ZLQuDNW5O

和「だ、だ、大丈夫よ。辞典車ね、わかったわ」

律「なんか発音違ったけどほんとに大丈夫か?」

紬「和ちゃん凄い汗よ?」

ハンカチで顔を拭ってくれる紬に不気味な笑みを浮かべながら礼を言う和。

和「じゃ、じゃあ私生徒会室行くわね」

澪「えっ、帰るんじゃないの?」

明後日の方向に歩き出した和、しかし、

ドサッ──

梓「あっ、和先輩お財布落としましたよ!」

和「あ、危ない危ない。ありがとう梓ちゃん。じゃあこれ届けて来るわね」

律「どこにだよ」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:14:18.43 ID:ZLQuDNW5O

しばらく動揺を隠しきれない、と言った感じで右往左往する和をみんなで見守った後、和は無事帰って行った。

律「……見たか?」

澪「ああ……」

紬「ええ……」

梓「はい……」

唯「うん……。あんなに動揺する和ちゃん初めて見たよ」

律「一体何が彼女をそうさせたのか……何か思い当たる節あるか?」

澪「う~ん…あったかな…」

梓「……もしかして自転車がキーワードじゃないですか?」

律「……」
澪「……」

律澪「まさかぁ~」

梓「ですよね~」

紬「でもあの汗のかきかた…尋常じゃなかったわ」


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:17:51.33 ID:ZLQuDNW5O

律「……ってことはなんだ。和が……自転車に乗れない……とか?」

澪「あはは! 面白いこと言うなあ律は! このこのぉ~」

律「やめろよ~」

梓「ありえませんよそんなこと。唯先輩じゃないんですから」

唯「あずにゃん!? わたし自転車乗れるよ!?」

梓「……えっ!!!?」

唯「乗れないと思われてたんだ!!? 凄い心外だよあずにゃん!!!」

紬「私達はとんでもないものを見てしまったのかもしれないわね……(それにしても動揺する和ちゃん可愛かった……)」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:26:38.58 ID:ZLQuDNW5O

律「で、唯。和は自転車乗れないのか?」

唯「……そう言えば乗ってるの見たことないよ! 中学も高校も徒歩通学だったし」

梓「謎は深まるばかりですね……」

澪「ちょっとみんな待って! 今誰の話をしてると思ってるんだ? 和だぞ? 生徒会長で人望もあってみんなの人気者の和だぞ?!」

律「そ、そうだった! 和は完璧だったな!」

梓「唯先輩が生徒会長になるぐらいありえないです」

唯「今日のあずにゃんクール……」

紬「自転車に乗れないならそれはそれで…」

澪「きっと録画し忘れたのを思い出したとかだよ! そうに決まってる!」

律「何録ろうとしたのかすっごい気になるっ!」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:31:50.31 ID:ZLQuDNW5O

律「まあ日曜日になったらわかるしな」

澪「そうだな」

梓「きっと杞憂ですよ」

紬「どっちでもどんとこいね」

唯「和ちゃん……」

今は居ぬ友を思い空に思いを馳せる唯……。

その友はというと……。

────

和「」ガタガタガタガタ

部屋で震えていた。

和「じ、じ、自転車で行かなくても良くないかしら? えっ、理由? え……今日は徒歩の気分なのよ!!! 苦しいわね……」

言い訳を考えていた。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:38:35.45 ID:ZLQuDNW5O

和「どうしよう……」

和「自転車に乗れないなんて言えないわ…」

和「こんな歳にもなって自転車に乗れないって……」

和「どうなってるのよ真鍋和……」

普通の人間ならここで袋小路、行けど悩めどで日が暮れると言った具合だろうが真鍋和は違った。完璧故のプライド、と言ったところだろうか。

和「日曜日まで後5日……」

動く───

和「練習よ!」

しかしそれは偽りの奮起……。
そんなもの……乗って5秒で吹き飛ぶっ……!
自転車はな、甘くないんだ……。
と、誰かが言った気がした。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:44:15.76 ID:ZLQuDNW5O

和母「和~。ちょっとお醤油買ってきてくれない?」

和「うんわかった(肩慣らし(ファーストミッション)にはちょうどいいわね)」

──庭──

庭に止めたまま埃を被っている自転車を引っ張り出す。

和「中学の時以来かしら……」

懐かしむように撫でる。

和「後にも先にも……諦めたのはこれだけね…きっと」

和「うん。問題なさそう」

和「よいしょ……」

サドルを跨ぎ、ハンドルを握り締める。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:52:21.70 ID:ZLQuDNW5O

その頭には白いヘルメット。しっかり顎紐も止めて完全装着といった様子。

和「行くわよ……」

これからまるで合戦に行くかのような面ごちでゆっくりとペダルに足を置き────

ライドオン────

和「あっ」

と思うのもつかの間、バランスが取れない。
これじゃコケてしまうと思った和は本能で漕ぎを選択、その推力で機体を立て直す作戦をとった。

ぐんっ──

和「ふあっ」

ペダルを力強く踏みつける。車体が進むと同時に和の体も風を切った。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 22:57:11.86 ID:ZLQuDNW5O

和「私……乗れて……」

フラフラ……

和「あ」

ガタガタガタッ!

和「あららら」

ガタガタガタガタッ!!!!

和「あららららららら」

ドシャーン……。

なかった。

無惨にも転倒し、自転車のタイヤは虚しく空転している。

「大丈夫ですか!? お怪我ないですか?」
和「あ、ありがとうございます。あれっ、眼鏡……」

「はい、これ」

和「あ、どうも」
装着(スチャ
和「って憂いいいいいいいいいいいいいい」

憂「ふふ。こんばんは和ちゃん」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:02:23.36 ID:ZLQuDNW5O

和「ほ、ほんとに憂なの!?」さわさわ

憂「憂だよぉ~」

顔の造型を確かめるかのように憂のほっぺたを触ったりつついたりする和。

和「唯じゃなくて良かったわ……」

心底安心したと言った感じで息を吐く、

和「やっぱりどっちも駄目っ!」

ブンブンと首を振り否定。どっちも嫌だったようです。

和「憂……このことは……」

憂「誰にも言わないよ! だから安心して和ちゃん」

和「憂……!」

きっと和から見た憂ビジョンには、後ろから後光が射してるに違いない。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:08:03.18 ID:ZLQuDNW5O

カラカラカラ──

憂「和ちゃん自転車乗れなかったんだ。初めて知ったよ~」

和「そうなのよ……高校生にもなって自転車に乗れないなんて……全世界で私だけよね……」

夕日を背に、一人は買い物バック持ち、一人は自転車を押しながら対になって歩いている。

憂「……そんなことないよ」

和「ありがとう、憂。そうやって慰めてくれるのは憂だけよ。きっと律だったら……考えるだけで怖いわね」

憂「慰めてなんか……」

和「?」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:12:27.87 ID:ZLQuDNW5O

和「はあ……どうしようもないわね私。ごめんね憂。こんな悩み打ち明けられたところでどうしようもないわよね……」

憂「…自転車に乗れないってそんなにいけないことなのかな?」

和「いけない……ことはないと思うけど。やっぱり恥ずかしいじゃない……高校生にもなって自転車に乗れないだなんて。きっと笑われるわ……世界で和だけ だって……」

憂「ッ!! ……。……!」

憂「和ちゃん、ちょっと自転車貸してくれない?」

和「ええ、いいけど……」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:17:48.13 ID:ZLQuDNW5O

憂はそう言うと買い物バックをカゴに入れ、和の自転車に跨がる。

和「憂、ヘルメットつける?」

憂「ううん、いいよ……」

和「よね……。ヘルメットなんてコケない人にはいらないわよね……」

憂「上手く転けるからっ!」

和「えっ」

そう言うと憂は両足で地面を蹴り車体に体を預けた。

和「あっ、ああっ! 駄目っ!」

和の目から見てもそれは危なっかしくて見てられないと言った具合だった。
数秒後、

ドシャーン──

和「憂っ!!! 大丈夫!?」

転倒先に急いで駆け寄る和。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:21:46.04 ID:ZLQuDNW5O

憂「だいじょうぶだよ……。自転車ごめんね」

和「いいのよそんなことは! もう……なんでこんなこと」

憂「二人だよ」

和「えっ……」

憂「世界で一人じゃないよ。乗れないの」エヘヘ

そう言って笑う憂。
一人じゃない、だから……大丈夫だと。

和「憂……」

この時、和は決意したのかもしれない。
この子の為に絶対に、二人とも自転車に乗れるようになってやると。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:26:24.46 ID:6KYoeIgDO

この2人の組み合わせ良いよね
見てるだけで幸せ

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:42:42.13 ID:ZLQuDNW5O

和「憂、一緒に練習しましょう。ね?」

憂「うんっ!」

こうして二人の特訓は始まった。

憂に勇気をもらった和と、和のため自分のために奮闘する憂。

二人の決意は何よりも硬く……。

ドシャーン──

硬く……。

ドシャーン──

硬い筈だ……きっと。

ドドシャーン──


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:50:22.01 ID:ZLQuDNW5O

──火曜日──

学校が終わってすぐに帰り、自転車を押して近くの川原へ直行する。
頭には白いヘルメット。顎紐も抜かりなくつけられている。

和「憂~待ったかしら?」

憂「今来たところだよ和ちゃん」

和「それが憂の自転車……可愛いわね」

憂にお似合いの淡いピンク色の自転車だった。和の自転車は青っぽく、どちらかと言えば男の子が乗りそうな風体だった。
きっと自分には女の子らしい色は似合わないだろうと中学生の和は思ったのだろうことが伺える。

憂「えへへ。ありがと。お姉ちゃんとお揃いなんだ~」

和「ほんとお姉ちゃん子ね憂は」


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /17(水) 23:56:27.18 ID:ZLQuDNW5O

他愛な会話をしたをした後、いよいよ練習にとりかかる。

和「やっぱりバランスが大事なんじゃないかと思うのよね。漕いだ時にもバランスを保てれば後はその繰り返しだから」

憂「じゃあ私が後ろで支えててあげるね!」

和「頼んだわよ、憂」

自転車に跨がり、いざ行かんと正面を睨み付ける和。

和「は、離していいって言うまで離したら駄目だからね?!」

憂「わかってるよぉ」

和「じ、じゃあ……」

片足で地面を蹴りつけ、ペダルに両足を乗せる。


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:04:44.54 ID:x1v5x4AiO

憂「和ちゃんっ! 漕がないと!」

和「え、ええっ」

あたふたしながら漕ぐも、今にも転びそうな勢いである。
憂が手を離した瞬間、おむすびころりんよろしくな勢いで転がって行くだろう。

自転車の上であたふたしている姿を見ると、ついつい意地悪してしまうのが人の性。
それがいつもは完璧の和なら尚更可愛く見えるのだろう。困らせたくなる。憂も人の子であった。

憂「ふふ、離すよ~?」

和「待ってまってまって離さないでお願いだからっ!」

憂「嘘だよ~」

和「なんだ良かった……」

憂「今だっ!」

手を離した瞬間、

和「あーーっ」

ドシャーン──


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:09:24.37 ID:x1v5x4AiO

和「離さないでって言ったのにぃっ!」

憂「ごめんごめん。でもちょっと乗れてたよ?」

和「ほんとに!?」

憂「うんっ! 後は漕ぐ時にバランスが取れたら乗れたも同然だよ!」

和「憂にそう言われるとなんだかやれる気がしてきたわ! 次、行くわよ!」

憂「がんばって和ちゃん!」


そうして彼女達の訓練は夜遅くまで続いた。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:16:33.01 ID:x1v5x4AiO

──平沢宅──

憂「ただいま~」

唯「憂いいい~お腹減ったよぉ~」

憂「ごめんねお姉ちゃん。着替えたらすぐ支度するから」

唯「着替えたら? って憂泥だらけじゃないっ! どうしたの!?」

憂「えっ…えっと、ちょっとコケちゃって。えへへ」

唯「も~憂はおっちょこちょいだなぁ」

憂「心配させてごめんねお姉ちゃん」

唯「憂は先にお風呂入りなさい! 今日は私も晩御飯作るの手伝うから! 先に作ってるね!」

憂「お姉ちゃん!?」

唯「じゃがいも剥いとくね!」フンスッ!

憂「じゃがいも使わ……うん、ありがとうお姉ちゃん」


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:25:38.96 ID:x1v5x4AiO

──真鍋宅──

和「やっぱりバランスが大事みたいね……内腿筋で上手くバランスを取る……と」

和「漕がなきゃ慣性が生まれないから転けやすくなるのね……所謂ジャイロ効果ってやつね……」

和「ハンドルは押すんじゃなくて傾けるって感じか……いいこと書いてるわね」

和「ふう、ファイリングしてたら3つにもなっちゃった。ネットって便利よねほんと」

和「これで明日には乗れるわね! 待っててね、憂」ノドンッ!


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:29:53.46 ID:x1v5x4AiO

──水曜日──

和「お待たせ、ちょっと生徒会の仕事があって」

憂「ううん。全然いいよっ! 生徒会長だもん忙しいよね」

和「憂こそ家事とか大丈夫なの?」

憂「朝早く起きて夜の分も仕込んでるから大丈夫だよ」

和「苦労かけるわね……」

憂「お互いのためだもん、平気だよ! 今日も頑張ろっ和ちゃん!」

和「ええ」


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:37:03.89 ID:x1v5x4AiO

憂「離すよ~?」

和「だ、駄目! もうちょっと支えてて……」

憂「だーめ♪」

和「あーーーーっ」




ドシャーン

憂「凄いよ和ちゃん! 昨日より乗れてたよ!」

和「結構スパルタよね憂……」

憂「まだ腰が引けてるよ和ちゃん! こうやって体は真っ直ぐにして怖がらずに前を見て漕ぐんだよ!」

お手本を見せるように自分の自転車を乗って見せる。

和「なるほど…腰はまっすぐにした方が全体のバランスがいいのれてるうううう!???」

憂「えへへ~。昨日で大体コツ掴んじゃった」

和「……これが天才と凡人の差ってやつかしら……」


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:44:07.02 ID:x1v5x4AiO

──平沢宅──

唯「憂遅いなぁ……。どうしたんだろ」


憂「ただいま~」

唯「あ、憂。おかえり~ってまた泥だらけー!?」

憂「えへへ。純ちゃんと砂遊びして来たの!」

唯「憂……。高校生になって砂遊びは……どうかと思うよ?」

憂「そうかなぁ? 楽しいよ~砂遊び♪ じゃあお風呂入ってくるね!」

唯「しょうがないなぁ。じゃあまたじゃがいも剥いてるね!」

憂「うんっ! お願いお姉ちゃん」


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:52:44.81 ID:x1v5x4AiO

──真鍋宅──

和「これはあんまりやりたくなかったけど……背に腹は変えられないわね。高校生だけど自転車乗れない……と」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/11/18(木) 18:04:44 .54 ID:NODOKA/50

乗り方教えてください(□‐□*)


和「頼んだわよ……!」

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/11/18(木) 18:05:44 .34 ID:tmadjjga0
(□‐□)
↑何この顔文字うぜぇ

3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/11/18(木) 18:05:54 .21 ID:jmwjajg0
以後、この顔文字で1000目指すスレ
(□‐□)


和「頼った私がバカだった……! 猫にもすがる思いを見事に踏みにじられ……」


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 00:57:39.33 ID:x1v5x4AiO

121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/11/18(木) 18:14:44 .44 ID:AZUSA2GO0

恐怖心が一番の敵だと思いますよ。転けることは恥ずかしいことじゃないです。
転けて覚えろ、なんて古くさいことは言いませんが転ける勇気は大切だと思います。



和「……転ける勇気……か」

和「そうよね。転けるからって乗らなかったらずっと乗れないわよね。転けてもいいんだって気持ちが大事ってことね! 良いこと言うわねこの人。ありがとう……と」


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:03:56.76 ID:+AjY7BUVO

このIDはwww

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:06:43.37 ID:x1v5x4AiO

──木曜日──

第一種搭乗配置。

一番レッグ、装着。
二番レッグはスタンバイモードへ。
ハンドルは固定、ブレーキ、作動を確認。
脈拍、心拍数、共に正常。
ヘッドギアの防御装置稼働率、97%。

では、発進──


5m……10m突破!!!


補助輪、パージ!!!

補助輪憂ちゃん、パージ!!!

ERROR!!ERROR!!

駄目です!バランス合いません!!
ペダルとレッグとの神経接続、解除されていきます!脈拍、心拍数上昇!!!
いかん!!転けるぞ!! 脱出しろ!!
駄目です!!!間に合いません!!!

ドシャーン──


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:12:29.78 ID:x1v5x4AiO

和「もう駄目よ……このまま一生乗れないのよ……きっと」

憂「きっと和ちゃんなら乗れるよ! だから諦めないで!」

和「でもこんなに練習してるのに初めの頃とほとんど進める距離は変わらないし……」

憂「そんなこと…」

和「憂はすぐ乗れたからそんなこと言えるのよ……。私は憂みたいに完璧じゃないわ……」

憂「ッ!!!! 和ちゃんのバカッ!!!! もういいっ!!!」

涙を滲ませながら自転車に跨がり去って行く憂。

和「あっ……憂……! もうあんな遠くに……。自転車って凄いわね…」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:17:20.72 ID:x1v5x4AiO

和「自分が乗れなくてイライラしてるからって乗れる憂に当たって……何やってるのよ私…」

俯くと、眼鏡のレンズに涙が溜まる。
情けなくて、最低で……。

和「何が完璧よッ! てんで駄目じゃない真鍋和!! 完璧なら完璧らしく自転車ぐらい乗りなさいよ!!!」

和「憂を泣かせてんじゃないわよ!!!」

和「私っ!!!」

自転車を掴み上げ乗り込む。
転けることもいとわず漕ぎつける。

和「絶対ッ! 絶対ッ! 諦めないッ! 諦めてたまるもんですかっ!!!」


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:22:31.53 ID:x1v5x4AiO

──平沢宅──

唯「あ、おかえり~憂。もうちょっとでご飯出来るよ!」

憂「うん……」

唯「今日はいつもと違って元気ないね、憂」

憂「喧嘩しちゃった……」

唯「純ちゃんと?」

憂「……」

唯「憂。憂が何やってるのかは聞かないよ。でも悩み事があるならいつでも言ってね」

憂「お姉ちゃん…」

唯「あっ! カレールーがないや。ちょっと買って来るね! お風呂沸いてるから!」

憂「あっ! お姉ちゃん!」


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:31:24.18 ID:x1v5x4AiO

チリンチリン──

唯「久しぶりの出撃だね~自転太。風が気持ちいいね~」

土手沿いを自転車で走る。景色が後ろへ飛び去って行き、風が体を包む。
まるで羽根が生えたみたいに体が運ばれて行く爽快感。
気持ちがいい、まさにこの言葉が当てはまる。

唯「ん?」

風景を眺めながら自転車を漕いでいると、川原傍で自転車に乗っている人影を捉えた。




ドシャーン──

唯「練習中かな? でも転けても転けても立ち上がって……偉いなぁ」



和「はあ……はあ……もうちょっと……もうちょっと」


唯「あれ、もしかして和ちゃん……?」


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:38:53.42 ID:x1v5x4AiO

和「よっ……とと」よろよろ

和「まだっ……まだよ!」よろよろ

和「後5m!!!」

和「よし20m行っ」

ドシャーン

和「っつた……でも目標達成ね。次は30mにしましょう」

そう言うと和は歩数を使って30mの目安線を引き始めた。


唯「ほんとに乗れなかったんだ……」

木陰でそれを見守る唯。

和「はあっ……はあっ」

唯「和ちゃん……」

唯「(初めから完璧な人間なんていないんだ。和ちゃんはああやって苦手なものは克服して来たからこそ何でも出来るようになったんだ)」

唯「そっか…憂は和ちゃんの自転車に乗る練習を手伝ってたから遅かったんだね…。じゃあ喧嘩したって言うのも………そうだ!」


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:44:13.45 ID:x1v5x4AiO

──真鍋宅──

和「はあ……」

何回目だろうか……、この溜め息は。

溜め息をつく度幸せが逃げると云う言い伝えがあるがそれが本当ならもう一生分の幸せがなくなってしまったんじゃないかと思うぐらい溜め息をついただろう。

和「結局30mはいけなかったし……はあ……」

ブーブー

マナーモードにしてあった携帯が震える。

和「電話……唯から? 何だろ……」

もしかしたら憂のことかなと身構えつつ電話をとる。もしそうならば謝らなくては。

和「もしもし」


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:48:07.25 ID:x1v5x4AiO

唯『もしも~し。和ちゃん?』

和「どうしたのよ唯。こんな時間に」

唯『ご飯もう食べた? 私が作ったカレー食べたくない!?』

和「唯がカレー?! ほんとに!?」

唯『そんな驚くことかなぁ? 憂も和ちゃんも大げさだよぉ』

和「憂……何か言ってた?」

唯『何が?』

和「ううん。なんでもない」

唯『……憂も待ってるから。来てね。じゃっじゃじゃ~!』

和「えっ!? ちょっと唯!? もしもし!? 切れてる……全くもう……勝手なんだから」


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:53:46.85 ID:x1v5x4AiO

──平沢宅──

和「来たわよ」

唯「いらっしゃい! さあさこちらへど~ぞ」

和「……憂は?」

唯「いるよ~。今盛り付けてくれてる」

和「そう…」

唯「……」

程なくして盛り付けも終わり、食卓に三人が介した。
和の前の左右に唯と憂が座っている。

和「これ……ほんとに唯が作ったの?」

唯「そうだよ! 憂にちょっとだけ手伝ってもらったけどね!」

憂「大体お姉ちゃん一人でやったよね。凄いよお姉ちゃん!」

唯「えへへ///」

和「……」

それはまるで憂からのメッセージにように思えた。姉は諦めずにやり仰せたのに……という。
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 01:59:38.34 ID:x1v5x4AiO

和「……」

憂「……」

唯「……。ふふ、このじゃがいも見てよ。でこぼこだよね」

唯がスプーンですくい上げたじゃがいもは、確かに言われた通りでこぼこだった。カレーに入ってるじゃがいもはみな大きさがまばらで、剥く時に苦労したのが 見受けられる。

唯「皮剥くのって難しいよね。手を切るのを怖がってると厚く切りすぎて勿体無いし」

和「……そうね」

唯「でもさ、こうしてちゃんとカレーが出来た。ヘタクソでも……ちゃんと出来たよ」

誰に訴えるわけでもなくそう呟く。

憂「お姉ちゃん…」

和「唯……」


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:05:06.34 ID:x1v5x4AiO

唯「諦めずにやればきっと出来るよ。なんだって」

和「唯…あなた知って」

唯「さあ食べよ! せっかくのカレーが冷めちゃう! 見た目はイマイチだけど味は自信あるよ!」

和「唯……そうね。諦めたら…そこでもう出来なくなっちゃうものね。でも諦めない限り…出来る可能性は無限にあるもの」

憂「和ちゃん…」

和「食べましょう憂。いっぱい食べて、また明日から頑張りましょう」

憂「…うんっ!」

和「(ありがとう…二人とも)」


95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:13:47.58 ID:x1v5x4AiO

──金曜日──

己の筋肉がモノを言うこの世界にまた一人身を投じる!
生徒会で言わせたこのボディ、今自転車にフェードイン。
魂と魂が繋ぎ合ったような一体感! 腕に迸る汗と言う名の流水。
高まる心拍数を押さえつけ、精神統一を開始し、そして今スタートです!

スタートダッシュは緩やかで軽快だ。
しなる上腕二等筋。凛々しい姿勢が未だ維持されております。

ガタガタ……。

おっとここで揺れる揺れる。震度4と言ったところでありましょうか。不安と期待が体の中を駆け巡っております!

憂「離すよ……和ちゃん!」

そしてここで鎖から解き放たれます! この先はデンジャラスゾーン未知の世界。その道を己の足で進んで行かなければならない!


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:18:01.16 ID:x1v5x4AiO

20m、30mを越えてきた!
トップの平沢に迫ろうかと言うところ!
40m……っとここでバランスが崩れた!
持ちこたえられるかーーーー駄目だっ!

ドシャーン──

和「った……惜しかった」

憂「もうちょっとだよ! 和ちゃん! 後はもう感覚を掴むだけだよ!」

和「ええ。今日中に乗りこなして見せるわ」



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:24:12.45 ID:x1v5x4AiO

それから何回も何回も二人は押したり転けたりを繰り返した。
転けた数だけ前に進める気がした。
もうちょっと、

もうちょっと、

諦めないでやればきっと出来るんだって教えてくれた人がいた。

私の為に何回も何回も手伝ってくれる人がいた。

そうだ、人は一人だけじゃ成し得ないことも誰かとなら出来るんだ。
それが完璧である証になると言うのなら、私は喜んでその完璧を受け入れよう!
背中を押してくれる限り私は……もう絶対に諦めない!!!

憂「離すよッ!」


和「いけええええっ」

その時私は──


生まれて初めて自転車に乗った──


99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:30:43.96 ID:x1v5x4AiO

不思議だった。自分の足が回るだけで世界も回る。
茜色の空が私を映し出し続ける。

夕日に向かって漕ぎ進めたら、いつか行けるんじゃないか……そんな気持ちになる。

景色が流れていく。左を向けば川原があって、右を見れば土手がある。
そんな当たり前のことが今はとてつもなく嬉しかった。

軽快に回る車輪と体が一体化したような……不思議な感覚。

和「風が気持ちいい……」

こんな気持ちいい風があったんだ……。


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:33:10.27 ID:LkpnUUdM0

平沢姉妹と和ちゃんの3人は最高や…

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:39:13.82 ID:x1v5x4AiO

前方にそろそろ道がなくなって来た。悲しいけどそろそろこの遊走行も終わりだ。

でもまた走ればいい。私はもう、自転車に乗れるのだから。

キキィー

景気のいいブレーキ音と共に停車する。振り返ると遥か後方に憂が手を振ってる姿が見えた。
何十、いや、何百mを駆け抜けたのだ。

和「やった……乗れたんだ! やった!!! やったよっ!!!」

それを見た瞬間嬉しさが込み上げてくる。
らしさなんて捨てて喜んだ。嬉しかった。乗れたことが、憂や唯に報えたことが。

駆け寄って来た憂と抱き合い、「乗れた! 乗れた!」 と子供の様にはしゃいだ。憂も「乗れたよ、乗れてたよ!」 とそれを祝ってくれた。


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:44:04.94 ID:x1v5x4AiO

和「ありがとう憂! あなたがいなかったらきっと投げ出してたわ」

憂「ううん、和ちゃんが諦めなかったからこその結果だよ。私とお姉ちゃんはちょっと支えてあげてただけ。自転車の荷台を持ってあげてたみたいにね」

和「でも……支えてくれてなかったら…きっと倒れてたわ。私も、自転車も。だからやっぱりありがとう、憂」

憂「うんっ!」

すすり泣きながら答える憂を、私はもう一度優しく抱き締めた。


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:48:49.97 ID:x1v5x4AiO

──木陰──

律「いいのか? 憂ちゃんきゃとられちゃうぞ?」

唯「今日は特別だからね。和ちゃんにきゃとせてあげるよ」

紬「私もきゃとられたいっ」

澪「ずっと…練習してたんだな」

梓「はい。火曜日に買い物行った時からずっと…」

律「なんだよ梓知ってたのかよ!」

梓「ええ、まあ。ここよく通るんで」

律「言ってくれたらみんなで手伝ったのにな~和のやつ水くさいぜ」

梓「そう言うと思って黙ってたんですよ」

澪「梓はよくわかってるな」うんうん

律「なんだよ~」


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:52:08.87 ID:x1v5x4AiO

梓「あの調子なら日曜日には普通に走れるようになりそうですね」

澪「ああ。みんなこのことは知らなかったフリだぞ? いいな?」

紬「ええ」
梓「勿論です」
律「ああ」

唯「……」

澪「唯?」

唯「あ、うん。わかってるよ」

澪「ならいいよ。和のプライドに傷をつけないようにしないとな」


和「」
憂「」


唯「良かったね、憂、和ちゃん」

二人の笑顔を見て、心からそう思った。


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:56:03.31 ID:x1v5x4AiO

──日曜日 駅前──

律「和のやつ遅いな~」

澪「まあまあ。まだ5分過ぎただけだろ。きっと何かあったんだよ」

梓「……凄い嫌な予感がするんですけど」

紬「唯ちゃん和ちゃんにちゃんと言ったの?」

唯「うん。メールしといたよ~」

澪「あ、あれ和じゃないか?」

律「ほんとだ、ってぇぇぇぇぇっ!!!!?????」


 和「お待たせ~」
自転車

澪「自転車の上に……立ってる!」

梓「雑技団ですかっ!?」


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:58:41.91 ID:nwWAEc5n0

なんだそりゃwww

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 02:59:40.23 ID:ZSBQkTWiO

ちょwwww感動を返せwwwww

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:00:26.14 ID:x1v5x4AiO

紬「次は倒立したわ!」

律「おおおおおそのまま片手で腕立て伏せしてるううううううううううう」

澪「まるで自転車と踊ってるみたいだ……!」

梓「可憐です……!」

律「そしてそのまま三回転半宙返りっ!!!!」

唯「自転車は駐輪場にどーん!!!」

和「お待たせ」キラッ

梓「か、かっこいい?」

和「ちょっと道が混んでたのよね。だからガードレール走って来たわ」

澪「凄すぎるっ」

律「上手くなりすぎってレベルじゃないな!!! やっぱり和は完璧だ!!!」


119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:05:33.35 ID:x1v5x4AiO

唯「でもなんで自転車で来たの?」

和「なんでって……そこに自転車があるから?」

唯「でもさ……」

ザアアアアアアアアアアアアアアア―――――――

唯「雨降ってるよ」

和「カッパ着てきたから大丈夫よ!」

唯「あのね…和ちゃん。今日電車で行くんだ」

和「……えっ」

唯「メールしたと思うんだけど……」

和「……」

律「じゃあそろそろ行くか」
澪「う、うん」
紬「タオル持ってるから……電車の中で体拭いた方がいいよ」
梓「自転車は駐輪場に置けば大丈夫ですし……」

和「……やだ」


121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:11:18.73 ID:x1v5x4AiO

唯「えっ」

和「やだやだ自転車で行きたい自転車がいい自転車で行きましょう自転車しかないわっ!!!」

澪「私達…歩いて来たし」

和「みんな乗せてあげるから!」

紬「六人乗りは危ないわよ和ちゃん」

律「そこ!? 突っ込むとこそこ!? まず乗れないだろ六人も!」

梓「雑技団なら……っ!」

唯「和ちゃん。めっ」

和「あっ……。うん。しょうがないわよね……。雨だものね……」

唯「また今度いこっ」
澪「いつだって乗れるんだからさ、自転車は」
律「そうそう」
梓「今度一緒にサイクリング行きましょう和先輩」
紬「はいっ! 私も行きたい!」

和「ふふ、そう…ね」


122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:14:58.13 ID:x1v5x4AiO

そう、もういつだって乗れるんだもの。
焦る必要ないわよね。

律「じゃあしゅっぱーつ!」

唯「おーっ!」

和「あ、そうだ。みんなに教えてなかったわよね。私の弱点」

澪「あるの!?」

紬「なになに?」

梓「なんですか?」

律「教えて教えて!」

和「私の弱点、それはね……憂と唯よ」

律澪紬梓「納得」

唯「えへへ///」

───

憂「くしゅんっ」


おしまい


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:17:06.13 ID:x1v5x4AiO

思ったより長くなりましたね

夜遅くまでご愛読ありがとうございました

和ちゃん可愛い

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:19:43.68 ID:oAyC2zU/O

乙!いいもん読ませてもらった

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:22:14.10 ID:LkpnUUdM0

(
乙‐乙*)

やっぱこの幼馴染みは3人が一番だな

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:42:01.80 ID:x1v5x4AiO

律「待ってくれ! じゃあ一番完璧なのは憂ちゃんってことになるのか!?」

和「それも違うわね。憂は唯が弱点だもの」

澪「た、確かに!」

紬「ってことは!」

梓「一番完璧なのは…!」ゴクリッ

唯「わたしってことになるよね!」

和律澪紬梓「ないない」

唯「……ドシャーン!!!」


今度こそおしまい


133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 03:45:04.81 ID:3SSo5FGh0


和ちゃんが自転車に乗ってるシーンは鮮明に頭に描かれたわ

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 04:06:10.83 ID:5WmnprqsO

おつかれさん
自転太で笑ったのは俺だけでいい

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /18(木) 18:16:59.78 ID:fbgqxWvmO

>>1

久々の俺得和スレで満足だった

俺は小4まで補助輪付けてたな


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