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梓「もう平気です。本当だもん」

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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 19:59:01.91 ID:OERl7/8r0

律「なあ梓ー、お前ソロやってみない?」

梓「えっ、急にどうしたんですか?」

律「いやー、ギターソロかっこよくってさー」

梓「話が見えないんですが」

澪「ああ、うちのバンドにも取り入れたいって律さわいでたなぁ」

律「そうそう。昨日澪と一緒に色んなバンドのDVD観てね?」

梓「ギターソロ……私がやっていいんですか?」

律「というか梓にやって欲しいんだよ」

梓「は、はぁ」

唯「良かったね、あずにゃん!」


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:04:23.14 ID:OERl7/8r0

澪「私も梓のソロ聴いてみたいかも」

紬「梓ちゃん凄く上手だから大丈夫よ」

梓「……別にいいですけど、ソロって普通リードギターがやるもんじゃ」

唯「へっ、そうなの?」

律「あーあ、言わなきゃ分かんないのに」

唯「ぶう! りっちゃんしどい!」

律「テヘヘッ! 冗談、冗談ですわよう!」

唯「こうしてやる! ホアー!」

律「ア、アタシの書いたドラゴンがオカマっぽくッ!?」

唯「えっ、カバじゃないの?」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:08:11.33 ID:OERl7/8r0

さわ子「まあまあ、梓ちゃんは唯ちゃんに遠慮してるだけでしょ」

梓「いえ、そんな事は……」

さわ子「ダブルリードってのもあるんだし、固く考えなくてもいいんじゃない」

律「さすがさわちゃん! 緩々だぜ!」

さわ子「あぁん? 私まだキツキツなんだから!」

唯「なにがキツキツなの~?」

澪「とにかくそういう訳だ。梓は気にせずやればいい」

梓「澪先輩がそういうなら」

律「何だそれ! ここは部長の面目を立てろよ!」

唯「ね~、キツキツって?」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:14:22.98 ID:OERl7/8r0

梓「ありがとうございます、律先輩。私頑張ります」

律「お、おう?」

唯「あ、あずにゃんが珍しく素直だ」

梓「私はいつも素直です!」

澪「ムギ、梓のあの顔」

紬「よっぽど嬉しいのね。うふふっ」

律「いつもそう素直なら、私の妹にしてやってもいいぞ」

梓「何言ってるんですか律先輩? クモ膜下出血ですか?」

律「はい先生! 梓さんが笑えないジョークを言いましたー!」

さわ子「ブッ! ブフフフッ!」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:21:02.91 ID:OERl7/8r0

澪「壷だったみたいだぞ……」

律「それでも教師か」

唯「ブラックジョークも大概だよ、あずにゃん」

律「それは分かるんだ」

唯「でもあずにゃんなら、私だって妹にしたいよ」

律「お前には憂ちゃんいるじゃん」

唯「あずにゃんは別腹だから何人いても大歓迎!」

紬「いいな! 私にもお一人!」

唯「ムギちゃんならいいよ! 安心して任せるよ!」

紬「唯ちゃん!」

梓「私は一人しかいませんけどね」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:28:22.01 ID:OERl7/8r0

 その夜。ギターソロを任された梓は嬉しくて、帰ってからロクにご飯も食べず
練習ばかりしていました。

 そんな時、ふいに一本の電話がかかって来たのです。

純『あっ、梓! ロンハー観た? 超ウケるんですけど』

 電話の主は、梓の同級生である鈴木純からでした。彼女は早口で、梓にとって
どうでもいい話を捲くし立てます。

梓「純? 生憎TV観てないよ。それどころじゃなくって」

純『えー、ウッソー? マジでおもしろかったのに』

梓「だからそれどころじゃないんだって」

純『……何か梓、声弾んでるね』

梓「そ、そう?」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:34:31.85 ID:OERl7/8r0

純『うん。何かあった?』

梓「えっへっへー、教えて欲しい?」

純『いや、別に』

梓「えっ」

純『忙しいようだから、もう切るね』

梓「ちょちょちょぉ~っと待ったぁ! 聞いて! 私の話を聞いて!」

純『何よもう……』

梓「純! 純ちゃん! 純さん! 純金!」

純『仕方ないなぁ』


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:39:47.24 ID:OERl7/8r0

梓「ありがと! 実はね私、ギターソロ任されちゃったんだ!」

純『えっ、ソロ!? 一年なのに凄いね!』

梓「そっ、そうかなー? ぶ、部員が少ないからだと思うけど」

純『まあまあ、謙遜しなさんな。信頼されてる証拠じゃん』

梓「えへへっ、あんまり褒めないで。調子乗っちゃう」

純『でもいいなー、私何てジャズ研じゃペーペーなのに』

梓「あそこ部員多いもんね」

純『そりゃ梓の腕ならさ、一年でも――』

梓「純も軽音部入れば良かったのに」

純『お、大きなお世話。ジャズ研にだってジャズ研のいい所があるんですぅ』


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:45:22.81 ID:OERl7/8r0

梓「ううん、純もいたらもっと楽しかったかなって」

純『は、恥ずかしい事いわない!』

梓「そ、そうだね……」

純『もう切るよ、ソロの練習で忙しいんでしょ?』

梓「うん。おやすみ純」


純『――が、頑張って梓!』


梓「あ、うん」

 電話が切れた後、梓は一人ガッツポーズをして、もうしばらくギターの練習を
続けました。この分なら、納得のいくソロが出来そうですね。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 20:49:25.31 ID:OERl7/8r0

 翌日、唯と憂の仲良し姉妹が揃って登校しています。そして憂が幼馴染の和に
気がついて、彼女に向かって手を振りながら呼びかけた所です。

憂「和さ~ん!」

和「あら、奇遇ね。珍しく早いんだ」

唯「の、和ちゃん肩を貸して……」

和「どうしたの唯? ストッキング被っちゃって」

唯「眠いんだよぉ! 被ってる訳ないじゃん!」

憂「実はお姉ちゃん昨日ずっと起きてて。ギターの練習してたみたいで」

唯「和ちゃん、たまにグサっとくる事いうよね」

和「そうなんだ。ダメじゃない、しっかり睡眠はとらないと」

唯「だって私もソロやりたいんだもん」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:07:43.27 ID:OERl7/8r0

和「ソロ?」

憂「ギターソロの事です。梓ちゃんがやるならお姉ちゃんも負けられないって」

和「ふ~ん、唯がそんな対抗心を燃やすなんてね」

唯「だって私へたっぴだし、もっと練習しないとあずにゃんに追いつかない」

憂「でもお姉ちゃんムチャしすぎ。体壊しちゃうよ」

和「昔から夢中になると周りが見えなくなる、変わってないわね」

唯「へへへ……やってみるとこれが楽しくて」

和「うふふ、頑張っている唯を見るのは好きよ」

唯「和ちゃん……おぶ……って……」

憂「おっ、お姉ちゃん寝ちゃダメーッ!」

和「重いわ唯……成長したわね……」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:13:19.99 ID:OERl7/8r0

 結局、二人がかりで唯を担ぐ事になり、遅刻は免れたものの、朝から重労働を
課せられてしまった憂と和。

憂「そんな訳で、大変だったんだよっ!」

 ここは一年二組の教室。遅刻ギリギリ登校を純に冷やかされた憂は休み時間、
それを余儀なくされた理由を説明したのです。

純「へぇ~、やっぱ憂のお姉ちゃんっておもしろい」

梓「そういう問題?」

憂「えへへっ、そうなんだぁ~」

梓「憂もこのケースでその反応はおかしい」

純「でも徹夜で練習なんてハンパないね」

梓「唯先輩らしい。その極端な所」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:21:00.52 ID:OERl7/8r0

純「でも梓ぁ、唯先輩がそんだけ必死に練習したっていうなら」

梓「何? 唯先輩がやる気になったのはいい事だよ」

純「いやもしかして、ソロ危ないんじゃないのぉ~?」

梓「純!」

純「ひゃ、ひゃいっ!」

梓「お昼になったら部室まで付き合って」

純「う、嘘です梓様――へっ?」

梓「合わせてみたいの! 言わせないで!」

純「ひゃい!」

憂「燃えてる梓ちゃん、かわいいっ!」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:26:18.66 ID:OERl7/8r0

 そしてお昼休み、昼食も早々に切り上げて、梓と純は軽音部の部室までやって
来ました。梓のソロの練習をする為です。

梓「適当でいいからリズムとって。出来る?」

純「じ、自信ない」

梓「いいからやって」

純「考えてみたら何で私が、梓の練習に付き合わなければならないのだろう?」

梓「ブツクサ言わない。時間もったいない」

純「は、はーい……あ、この立ち位置、もしかして澪先輩?」

梓「そうだよ」

純「そっか! 何だか俄然テンション上がって来たかも!」

梓「……ちょっとムカつくから、律先輩の位置でやってくれる?」

純「何で!? ドラムあってやり辛いし!」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:32:18.67 ID:OERl7/8r0

 なんやかんやありましたが準備が終わり、練習が始まりました。

 純のぎこちないベースから、やがて梓の滑らかなギターが入っていく。その
正確で熟練されたギター捌きは、さらに磨きがかけられており、梓のギターの
上手さをとっくにご存知の純でさえ、驚きました。

 これほど上手い人がうちの部に、いや高校生にいるのだろうかと。それ位の
衝撃だったのです。

梓「――ふぅ」

純「す、凄いよ梓、プロみたいだった」

梓「褒めすぎ。まだまだだよ、ちょっとミスっちゃったし」

純「ううん、こんなに上手くなってるとは思わなかった」

梓「あ、ありがと」

純「そりゃ唯先輩でも敵わないよ」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:36:30.40 ID:OERl7/8r0

梓「唯先輩は、まだ一年ちょっとしかキャリアがないんだよ」

純「まあ……」

梓「練習もロクにしてないし、私の方が上手くて当たり前」

純「そ、そうだよねー」

梓「でも凄いスピードで進歩してる。その内私なんて追い抜かしちゃうよ」

純「まさか。梓もっと自分に自信もちなよ」

梓「そうじゃない。唯先輩、本当は凄いんだから」

純「あははっ、梓ってば何だか憂みたいだねー。唯先輩大好きですってか?」

梓「なっ、ち、違うもん! 私はただ客観的にね!」

純「はいはい、照れない照れない」

梓「もっ、もうー! 純ーっ!」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:42:04.85 ID:OERl7/8r0

 そんなこんなで放課後になり、軽音部は珍しく練習モード。今日張り切って
いるのは、梓だけではないようです。

律「じゃあ梓、ふわふわのサビの後ソロだから。頼むぞ!」

梓「はい」

唯「ちょっと待っておくんなせえ、りっちゃん!」

律「何だ唯? 今日はお茶なら後だぞ?」

唯「違うよぉ~、りっちゃんじゃあるまいし」

律「失礼ね! ていうかお前にだけは言われたくねぇッ!」

唯「所で律ちゃんって言い難いけど、りっちゃんでも一応つが小さくなった
だけで何一つ省略されてないよね。でも言い易い不思議!」

律「お前は一体、何の話をしとるんだ?」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:47:19.77 ID:OERl7/8r0

唯「あっ、違いました! 私もソロをやりたいです!」

律「唯~、あのな? それは梓に決まったろ?」

唯「あずにゃんと一緒がいいの!」

梓「……」

澪「唯、残念だがそれは曲の構成上無理なんだ」

紬「唯ちゃんは歌もあるんだからそれに集中して……ねっ?」

律「そうだぞ唯~、お前そんな器用じゃないんだからぁー」

唯「りっちゃんだけには言われたくありません!」

梓「あ、あの、私と唯先輩が順番にやればいいんじゃないでしょうか?」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:52:10.71 ID:OERl7/8r0

唯「でへへぇ~、あずにゃ~ん」

律「梓、あんま唯を甘やかすなよ。メンドクサイ」

梓「でも私、唯先輩のソロも聴いてみたいですし……」

唯「あずにゃんよ~しよしよしよし~」

梓「やめて下さい! ソロ譲るなんて言ってませんから!」

唯「わ、分かってるでごじゃいまするよぉ」

律「う~んでも、そういう対決みたいな事する必要あるのかなァ?」

澪「私は梓に同感だぞ。唯がどんなソロ作ったのか興味あるし」

唯「澪ちゃん! やっぱり優しい!」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 21:57:09.86 ID:OERl7/8r0

澪「あ、当たり前だろ……仲間じゃないか」

唯「澪ちゃん……」

澪「ほら、タイがほどけてる」

唯「わざとなの……澪ちゃんに直して貰いたいから」

澪「バカ……」

律「そこそこー、臭いドラマしないー」

唯「てへっ」

紬「どうせ練習なんだし自由にやりましょ」

唯「うわ~い!」

律「そだな。んじゃまず梓から行くぞ」

梓「はいっ!」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:04:37.84 ID:OERl7/8r0

 一曲目、梓のソロ。下手すれば浮いてしまうような自己主張がありながら、
見事に曲とマッチしており、キャッチーでかっこいい感じ。

 評判は上々のようです。

澪「梓、凄いじゃないか!」

律「おまぁー、本当に高校生か!?」

紬「梓ちゃん、かっこよかったわ」

梓「ありがとうございます」

唯「あははっ、やっぱあずにゃんには敵わないかなぁ~」

梓「弱気な事いわないで下さい。唯先輩の番ですよ」

唯「あいよっ! 頑張るよー!」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:10:44.47 ID:OERl7/8r0

 次は唯の番です。正直梓は、自分の方がまだまだ唯先輩より上だと、高を
括っていました。しかし、予想外の事が起きます。

 唯のソロが始まると、梓は、いえ部員全員が驚愕したのです。

 独創的、かつ初めから用意されていたかのような一体感。聴いているだけで
踊りだしたくなるようなメロディ。

 曲自体が唯のソロによって、何段階もスケールアップしたかのよう。これを
聴いて、鳥肌の立たない者はその場にいませんでした。

律「――あっ、ごめ」

唯「あっ、りっちゃんミスった。ダメだよー、せっかくノってたのに」

梓「……」

律「こ、これ、本当に唯が作ったのか?」

唯「うん。アドリブで申し訳ないけど……てへへ」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:15:38.26 ID:OERl7/8r0

律「アドリブだって」

澪「はは……」

 唯のソロを聴いた後では、梓のソロは悪くはないもののどこかありきたりな、
使い回しのようにしか感じず、妙な空気が漂いました。


梓「唯先輩の方が、良かったですね」


 その空気を破ったのは、梓本人でした。それを聞いて能天気に唯は喜びます。

唯「本当? 頑張った甲斐があったよぉ!」

律「い、いやね? 梓も良かったんだ、ホント」

澪「でも、ふわふわに合うのは唯かな……」

紬「わ、私は梓ちゃんでもいいと思うけど」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:20:40.45 ID:OERl7/8r0

梓「いいんです、ムギ先輩。私がやっても私自身が納得しませんから」

紬「……」

澪「しかし唯は、本当に私達を驚かせるな……」

律「お茶にしない? アタシつかれちった!」

唯「あはは! ナイスな提案だね、りっちゃん!」

梓「私も今日は疲れちゃいました」

紬「そ、そうね! 今すぐ準備するね!」

梓「あ、少しトイレ行って来ていいですか?」

律「おっ、いってら」

唯「あー、私も行くー!」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:27:14.62 ID:OERl7/8r0

律「お前は残れ!」

唯「うわーん! どうして!?」

 そそくさと部室を出て行く梓を見守った後、律は唯に言いました。

律「一人にしてやろうよ。ああ言ってたけど、やっぱりショックはあるんだよ」

唯「ショックゥ? なにそれ?」

律「ああ~、もうお前ニブいな! なんザマスか!」

澪「唯に負けた事が、私達の期待に応えられなかったって思ってるんだよ」

唯「へっ?」

紬「梓ちゃん、責任感の強い子だから……」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:32:58.05 ID:OERl7/8r0

唯「そんな! あずにゃんは」

律「分かってる! 梓の演奏は完璧だったさ!」

澪「ただ、唯が凄すぎた」

唯「わ、わた……私、そんなつもりじゃ……あずにゃんと一緒に……」

紬「唯ちゃんは悪くない。ううん、誰かが悪いって訳じゃないの」

唯「こんな事なら私やめ――」

律「やめる? その方が梓を傷つけるんじゃないのか?」

唯「ふえぇん! じゃあどうすればいいのぉ!?」

律「泣くな! 私が悪かった! ごめん!」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:38:13.27 ID:OERl7/8r0

紬「梓ちゃんは強いわ。きっと――いいえ、必ず立ち直る」

澪「でも少し心配だな……」

紬「私、ちょっと見てくる!」

律「ムギ!」

唯「ムギちゃん! お供します!」

律「お前は残れ! 刺激が強すぎる!」

澪「唯、ムギに任せよう!」

唯「あうっ、離して! 漏れちゃうよ!」

律「が、我慢しろい」

紬「待ってて唯ちゃん! すぐ梓ちゃん呼んで来るからね!」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:43:17.17 ID:OERl7/8r0

 紬が梓を探しに部室を出ると、梓がそう遠くない所で一人佇むのが見え
ました。紬は忍び足でゆっくりと、慎重に梓に近付いていきます。

 わざとらしい、無駄のある動きなので、梓がそれに気がついてない筈はない
ですが、梓は気付かないフリをして紬を迎えました。

梓「……」

紬「泣いていたの?」

梓「泣いてなんかいません! あれ位で泣く訳ないです!」

紬「そっか」

梓「何しに来たんですかムギ先輩」

紬「トイレだけど……ダメかしら?」

梓「申し訳ありません。少しだけ一人にしてもらえますか」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:51:27.29 ID:OERl7/8r0

紬「どうしても?」

梓「私は唯先輩に嫉妬しているのかも知れません」

紬「そんなの……」

梓「そういう悪い気持ちを唯先輩に持つ、自分が許せないんです」

紬「しょうがないわよ。誰だって弱いもの」

梓「私はムギ先輩のように寛大じゃない。小さい人間なんです」

紬「私だって別にね?」

梓「理屈じゃ分かっていても割り切れない」

紬「――ねえ、梓ちゃん。昔話だけど聞いてくれる?」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 22:57:17.39 ID:OERl7/8r0

梓「何ですか急に?」

紬「私は小さい頃、しつけが厳しかったせいかあまり遊ばない子どもだったわ」

梓「そうなんですか?」

紬「ええ、良く遊ぶ子は、悪い子だと思っていた位でね」

梓「今のムギ先輩はその反動なんですね」

紬「うふふっ、そうよ。ブランコ乗ったりだとか、そういう事もしてみたい」

梓「高校生なのに?」

紬「まだ、高校生だもん」

梓「ぷっ、くく……」

紬「笑った」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:05:07.47 ID:OERl7/8r0

梓「だってムギ先輩、おかしいです」

紬「でも一人じゃ勇気がなくて出来ないんだけどね」

梓「私で良かったら付き合いますよ」

紬「高校生なのに?」

梓「自慢じゃありませんが、まだ小学生にも間違えられます」

紬「やだっ、うふふっ! でもいいのかな?」

梓「卵を割らなければオムレツは作れないと言いますし」

紬「あら? つまり?」

梓「ドイツ軍人の言葉らしいんですけど、何故か気に入ってて座右の銘です。
何事も行動しなければ始まらない、分からないって意味らしいです」


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:11:57.29 ID:OERl7/8r0

紬「行動力抜群の梓ちゃんにピッタリね」

梓「あはは……何だか照れ臭いですね」

紬「梓ちゃんは強いよ。何でも行動に移せる勇気があるもの」

梓「ありがとうございますムギ先輩。いつも励ましていただいて私……」

紬「梓ちゃん……でもね、私だけじゃなくてみんな心配してる」


梓「もう平気です。本当だもん」


紬「……唯ちゃんも梓ちゃんの事、心配してたよ」

梓「む! 唯先輩が甘えた事いってたら叱ってやります!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:17:44.30 ID:OERl7/8r0

紬「あらあら」

梓「行きますよ! ムギ先輩!」

紬「ふふ……」


紬(唯ちゃん……私ちょっと妬けちゃうかも……)


 梓が戻った軽音部。彼女が戻ればいつも通り、みんな和やかお茶を楽しみ
ます。

唯「あずにゃん! 会いたかったよぉ!」

梓「何言ってるんですか! お茶が済んだらまたやりますよ!」

唯「えぇ~、今日はもう無理無理ぃ~」

律「無理無理ぃ~」

梓「そんなんじゃダメです!」

澪「梓、こいつらはもうダメだ」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:23:08.55 ID:OERl7/8r0

 その翌日。梓は今日も元気に登校、教室で憂と純に挨拶をします。ついでに
昨日の出来事も話しました。

梓「そういう訳で、唯先輩はやっぱり凄かった」

憂「でしょっ、でしょっ? えへへ~」

純「ふ~ん。何かにわかには信じられない話ねえ」

憂「お姉ちゃんやる時はやるんだよ! 純ちゃんっ!」

梓「普段の唯先輩を見ていると信じられないけど、本当なのよ」

純「う~ん……やっぱりにわかには信じられないわ」

梓「良かったら純、部活見学する? 自分の目で確かめれば」

純「やっ、私も部活あるんですが」

憂「私行こうかなぁ」


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:29:09.50 ID:OERl7/8r0

梓「本当?」

憂「うーんでも、お夕飯のお買い物しなきゃいけないの」

梓「残念。憂も軽音部入ってくれたら楽しかったけど、それがあるんだよね」

憂「ごめんね付き合えなくて。でも梓ちゃんがそう言ってくれて嬉しいよ」

梓「あはは、憂ったら~」

純「……梓、憂にも私と同じ事いってるんだ」

梓「えっ」

純「軽音部に入れば誰でもいいのねっ! この女ったらしっ!」

梓「何その小芝居」

憂「梓ちゃんと純ちゃん、もうすっかり仲良しだねぇ~」


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:34:40.34 ID:OERl7/8r0

 そして放課後。軽音部はまたもや練習モード。雪でも降るんでしょうかね?

律「よっし、ふわふわ行くぞぉ。唯~、ソロ頼むな」

梓「唯先輩! しっかり決めて下さいね!」

唯「あっ、あのぅ~、誠に言い難いのですが……」

梓「どうしたんです?」

律「トイレか?」


唯「わ、忘れちゃった!」


律「なっ、なにィーッ!?」

唯「えへへ……だってぇ、アドリブって言ったじゃ~ん」

梓「……」


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:41:18.05 ID:OERl7/8r0

澪「あの凄いソロが幻……究極の一夜漬けだな……」

紬「録音すれば良かったね」

律「もう一回やれ! 責任取れ!」

唯「む、むりゃぁ――あずにゃ~ん!」

梓「し、信じられません! 真面目にやって下さい!」

唯「しょ、しょんなぁ~」

律「あーあ、やっぱりソロは梓に決定だな」

唯「良かったね、あずにゃん!」

梓「全然良くありません!」

紬(うふふ、唯ちゃんは嘘が上手ね)

 多少の本気も何のその、今日も軽音部は平常運転止まりのようです。
おしまい。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:43:00.46 ID:qfqrkLLN0


いい話だった

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:49:13.14 ID:DhhxartO0

梓とムギのやり取りが良かった乙

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 23:52:40.82 ID:OP1UMs/D0



ちょっといい話って感じで面白かった


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